UMIE2002

初めての国際大学であった。加速実験を前提に、エージェントの組み合わせ、時系列、評価基準を変え、本格的に実験を設計した。大学や大学院のプログラム演習課題として作成されたエージェントの応募が多数あったほか、意思決定支援システムの開発を行なっている研究グループが評価の為に参加するなど、公開実験が社会的な広がりをもせた。参加エージェントの質も高く、良くチューニングされていて、ランダム・エージェントが活躍できなくなった。ログ解析も本格的に行なわれるようになり、時系列の違いが各エージェントの順位に与える影響などが推測された。

日付
  2002年6月22日
会場
  カーネギーメロン大学(米)国際会議
(CASOS2003のでもセッションとして開催)
参加形態
  マシン・エージェント

【マシン】

チーム名 大学名 エージェント名 特徴
Polynch 香港工業大学

TestStrategy

・先物価格の移動平均を利用したテクニカル・エージェント
・長短2種類の移動平均を計算し、両方とも上回った(下回った)時に買う(売る)
Dead Weight Loss 函館未来大学 MUCCHAN01〜05 ・現物価格の過去4回分の短期的なトレンドを利用した売買を行うエージェント
・トレンドの傾きなど、パラメータによって10種類のエージェントが参加した.
大阪産業大学‐谷口 大阪産業大学
Hiro510
MK2Strategy
MKStrategy
OsuTani01〜05
monkey
monkey2
・過去数回の現物価格と先物価格の関係で売買を行うエージェントや、現物価格や先物価格の時系列を利用したテクニカル分析(ストキャスティク)など、3人の作者による数種類のエージェントがエントリーした.
GSSM Tsukuba 筑波大学 GA1〜2
Psychological MoveAverage
Trickstar
・移動平均線やサイコロジカルラインなど先物価格を利用したエージェント、現物と先物の価格差を利用したエージェント、短期トレンドと中期トレンドの間の関係から、ジェネティク・アルゴリズムを利用して予想した価格を元に投資するエージェントが参加した.
Yuasa-lab. U-Tokyo 東京大学 si20837_3
Psi20859_3
Psi20878_3
・学部講義の課題として作成されたエージェントの選抜チーム。現先スプレッドを利用したエージェント、最小二乗法による現物価格のトレンドによって売買を判断するエージェント、移動平均法を利用したエージェントからなる.
IE-OPU
大阪府立大学 FuzzyAgentA
FuzzyAgentB
・Fuzzyルールベースやニューラルネットワークを利用した、オンライン学習型エージェント。意思決定支援システムを開発している研究グループがベンチマークとして、この大会にエントリーした.
Deguchi-Lab.TIT 東京工業大学 畠山エージェント・嵐山 ・移動平均を利用するエージェントと、最初の価格との比較で売買するエージェント.
Aruka-Lab.CU 中央大学 Agent A〜D ・裁定取引とウイリアムの%Rを利用したエージェント.パラメータの違いや戦略の組み合わせによって4種類のエージェント.
OCU 大阪市立大学 Baba
Kanai
Kaubakka
・3名が各1エージェントずつ作成した。裁定取引を行うエージェント、10回毎に売買を繰り返すエージェント、ドルコスト平均法を利用したエージェントが参加した.
Stocks_&_Finance研究 東京工業大学 F_S_saeki
Hensachy
・移動平均からの乖離率を利用したエージェントと現先スプレッドを利用した裁定型エージェントが参加した.
U-T 徳島大学 Abe6
Hamaguchi
Mizuguchi
Nakahashi
・5名の作者が各1体のエージェントを作成した。過去の現物価格と先物価格の値上がり/値下がりパターンを利用したエージェントや移動平均を利用したエージェントが参加した

●パレート順位

順位 エージェント チーム名 大学名
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) Psi20878_2

Yuasa-lab.U-Tokyo

東京大学
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) FuzzyAgentB IE-OPU 大阪府立大学
2位(Ex2で1位,Ex1・EX3で1位) FuzzyAgentA IE-OPU 大阪府立大学
2位(Ex2で1位,Ex1・EX3で1位) F-S-saeki Stocks-&-Finance研究 大阪経済法科大学

○全ての順位(pdfファイル)

各エージェントの順位一覧表

実験:Ex1,Ex2,Ex3の計3種
時系列:上昇(ASC),下降(DES), 振動(OSC), 反転 (REV)の4種+全時系列(ALL)の計5種

Prareto
参加者 Ex1 Ex2 Ex3
時系列
ALL
ASC
DES
OSC
REV
ALL
ASC
DES
OSC
REV
ALL
T01-TestStrategy
1
1
4
1
10
2
3
23
4
19
3
T02-kk-B00
1
1
1
1
1
2
13
4
9
3
2
T02_KK_B05
1
1
1
1
1
3
10
5
8
4
2
T02_KK_B10
1
1
1
1
1
2
9
6
7
4
3

結果

correlate 5% levels of significiance

correlate 1% levels of significiance

実験間の相関 (内部状態の影響)
相場環境が異なる事で、順位がどの程度変わるのか?
強いエージェントは、誰と対戦しても強い!

時系列間の相関(外部環境の影響)
相場環境が異なる事で、順位がどの程度変わるのか?
エージェントによって得意な時系と不得意な時系列がある

EX2
EX3
Descent
Oscilation
Reversal
EX1
0.66
0.69
Ascent
-o.24
-0.10
0.37
EX2
0.8
Descent
0.56
0.24
Oscilation
0.11

【UMIE2002】

◆参加エージェントの(技術的)水準は向上
・参加エージェントは標準的なエージェントよりは強い
◆Pre U-Mart 2000やU-Mart 2001より高度
・より複雑なアルゴリズムの採用
◆開発キットの制約された条件下での、オンライン学習型エージェントの登場
・m30(FuzzyAgentA)m31(FuzzyAgentB)のファジィ オンライン学習型
・様々な状況の中で、常に良い結果(パレート順位で1位)
◆破産処理・対策をとっている
・標準エージェントに実装していたものを参考により高度なポジション管理を行なうものも登場
◆圧倒的に(総合的に)強いエージェントは存在しない
・勝者は、エージェントの組み合わせや時系列に依存する
◆オーバーラーニングの発生
・ニューラルネットワーク学習型エージェントは、配布したJ30はデータでは圧倒的に強いが、他の時系列では破産した