UMIE2004

大阪府立大学や近畿大学、立命館大学などから新しいチームが参加した。優秀な成績を収めたエージェントは、UMIE2002で優勝したFuzzyB、UMIE2003で優勝したClassifierエージェントに加えて、強化学習を使ったTriDicePとニューラルネットを使ったNN2などの人工知能技術を利用したオンライン学習型のものであった。伝統的なテクニカル型エージェントとしては裁定取引を行ったKInvestor-25が優秀な成績を収めた。学習アルゴリズムやテクニカル分析によるエージェントは、これまでにほぼ全て出尽くした感もあり、また、上位の顔ぶれも固定しつつあるため、何らかのブレークスルーが必要となっている。

日付
  2004年5月29日
会場
  京都大学・京大会館
(NAACSOS2004のイベントとしての開催)
参加者   12チーム・36エージェント参加
参加形態
  マシン・エージェント

【マシン】

チーム名 大学名 エージェント名 特徴
OCUNakajima 大阪市立大学経済学部

Transaction

・市場外取引をシュミレートしたエージェント
Kinki University A Team 近畿大学経済学部 KinkiAsahina
KinkiIkeda
KinkiNakaji
・過去数回分の現物価格と先物価格から推定した短期的トレンドや、現物価格と先物価格の乖離幅によって売買を判断するエージェント。近畿大学生3名がエントリーした。
Kinki University B Team 近畿大学経済学部
KinkiMasa01
KinkiMasa02
KinkiMasa03
KinkiMasa04
・過去数回分の現物価格と先物価格から推定した短期的トレンドや、現物価格と先物価格の乖離幅、4回移動平均を利用して売買を判断するエージェント。近畿大学生山本君が開発したエージェント。
Kinki University C Team 近畿大学経済学部 KinkiNg001
KinkiNg002
KinkiNg003
KinkiNg004
・過去数回分の先物価格と現物価格の位置関係によって売買を判断するエージェント。近畿大学の野口君によって開発された。

OsakaCityUnivercityRoom419

大阪市立大学経済学部

BreakOut
LastSpreadHunter
MovingAgerageIntersect

・新値更新時に売買するエージェント、最終売買日にのみ投資するエージェント、長期と短期の移動平均を使って投資するエージェントの3つをエントリーした。大阪市立大学の森本君によって開発されたエージェント。

IE-OPU
大阪府立大学 FuzzyAgentA
FuzzyAgentB
・Fuzzyルールベースやニューラルネットワークを利用した、オンライン学習型エージェント。意思決定支援システムを開発している研究グループがベンチマークとして、この大会にエントリーした.
M.Kojima 立命館大学 TriDice2
TriDiceP
TriDiceR
Zcrossover
・強化学習を使って価格変動の近似式を求めて投資するエージェントと、その派生版を2エージェント、そして長期と短期の荷重移動平均を使ってトレンド推計をするエージェントを1つの計4エージェント。
TCIT 東京工業大学 RandomLossCutStrategy
MovinAverageStrategy
・裁定取引とウイリアムの%Rを利用したエージェント.パラメータの違いや戦略の組み合わせによって4種類のエージェント.
OCU 大阪市立大学 Baba
Kanai
Kaubakka
・ランダムに売買するエージェントと短期と長期の移動平均を利用したエージェント。東京工業大学の石山君と金子君によって開発された。
OPUshu 大阪府立大学 OPUFuzzyStrategyA
OPUFuzzyStrategyB
OPUPositionControlStrategy
OPUSteadyStrategy
OPUallProbabilityStrategy
・2002年以来、優秀な成績を収め続けているチーム。例年活躍しているFuzzyAとFuzzyBを中心に、その改良版や特定の確率分布でランダムに売買判断を行うエージェントが出場した。
negative trader 大阪市立大学 activeRSI ・RSIを使って売買するエージェント。
Osaka University of Economics and law 大阪経済法科大学 KInvestor-20
KInvestor-25
Kinvestor-8
・裁定取引を行うエージェント。エージェントによって注文数量が異なる。
team tar 東京工業大学 UMIE2003Winner
ClassifireAgent2
・昨年活躍優勝したエージェントとその改良版。4種類の投資戦略の中から、最適のものを選択する。

●パレート順位

順位 エージェント チーム名 大学名
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) TriDiceP

M.kojima

立命館大学
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) NN2 kamlab 立命館大学
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) OPUFuzzyStrategyB OPUshu 大阪府立大学
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) KInvestor-25 Osaka University of Economics and law 大阪経済法科大学
1位(Ex1,Ex2,EX3で1位) ClassifireAgent2 team tar 東京工業大学
6位(Ex1・2で1位,EX3で2位) KinkiNg001 Kinki University C Team 近畿大学

○全ての順位(pdfファイル)

UMIE2003と同様に、実験間と時系列間の順位相関をしらべてみると・・・

correlate 5% levels of significiance
correlate 1% levels of significiance

実験間の相関 (内部状態の影響)
相場環境が異なる事で、順位がどの程度変わるのか?
強いエージェントは、誰と対戦しても強い!

時系列間の相関(外部環境の影響)
相場環境が異なる事で、順位がどの程度変わるのか?
エージェントによって得意な時系と不得意な時系列がある

EX2
EX3
Descent
Oscilation
Reversal
EX1
0.77
0.83
Ascent
-0.29
-0.35
0.27
EX2
0.92
Descent
0.67
0.22
Oscilation
0.35

 

UMIE2003との違いを調べてみると・・・
1)実験間の相関が無くなった。
対戦相手によって、結果が大きく異なるようになった

UMIE2003
UMIE2004
EX2
EX3
EX2
EX3
EX1
0.31
0.57
EX1
0.77
0.83
EX2
0.33
EX2
0.92

2)得意/不得意な時系列の中身が変わった。
去年は上昇/下降がメインだったが今年はトレンド変化の有無の影響が大きい

UMIE2003
UMIE2004
Descent
Oscilation
Reversal
Descent
Oscilation
Reversal
Ascent
-0.81
-0.74
0.24
Ascent
-0.29
-0.35
0.27
Descent
0.68
-0.20
Descent
0.67
0.22
Oscilation
-0.32
Oscilation
0.35

【UMIE2004】

◆順位相関の結果は、概ねUMIE2002の時に戻った。
実験間の相関をみると、どの組み合わせでも相関が強く、「強いエージェントは、誰と戦っても強い」という結果になった。また、エージェントが得意な時系列については、下落と振動の間に相関が見られたもののそれ以外は、それほど特徴的ではなかった