近畿大学での実施例

実験目的

@教育に配慮した実験 → 実験参加を通して、先物取引の仕組みを実践的に学ぶ
A板情報の開示が市場参加者の取引行動に及ぼす影響を、実験によって調べる
B実験条件を探索する

実験内容

ヒュ−マン・エージェントによる実験(2004年度)
@U-Martの教育利用(U-Mart新サーバーを使用)
A実施期間
  ・学習のための予備実験:4回(前期2回 + 後期2回)
  ・本実験4回(2004年10月7・14・21・28日)
B参加者:17名(3回生)

事前学習

・前期にU-Martを用いて学習のための実験
・課題の提出、取引ルールの確認・熟練等のために、2泊3日の夏季合宿。
 合宿では、他者がどのような戦略で取引を行っていたのかを知り、取引戦略の理解が進んだ。
・後期には、予備実験を行った。
 板寄せの時間を十分にとり、全員が注文を出して考える時間を取った。

実施方法

・被験者17名をA、Bそれぞれ9名と8名のグループに二分
・1回目:Aグループに開示、Bグループに非開示
・2回目:Aグループに非開示、Bグループに開示
・3回目:全員に開示
・4回目:全員に非開示

実施条件

・板寄せ回数:1日3回
・1回の板寄せ時間:20秒
・30日間の先物、90回分の板合わせ
・(20秒 × 3 + 20秒) × 30日 = 40分
・実時間:40分

価格推移例(実験2回目)


実現損益例(実験2回目)

板情報の開示と約定率

・エージェント別の約定率(約定回数 ÷ 注文枚数)

*縦軸:板情報有り、横軸:板情報無し

・約定枚数による約定率の場合

  変動 自由度 分散 観測された分散比 F境界値(5%有意水準)
板情報の有無 0.134 1 0.134 7.177 4.149
誤差 0.597 32 0.019    
合計 0.730 33      

・帰無仮説H0:各組の実験データは同じ母集団に属する。すなわち、板の開示は約定率に影響を与えない。
これに対して5%の有意水準で検定、得られた分散比は棄却粋。帰無仮説は棄却された。


実現損益

  h1 h2 h3 h4 h5 h6 h7 h8 h9 h10
板有り 8,373,000 -46.352,000 -54,580,000 -2,359,000 -3,920,000 -17,720,000 -52,570,000 -34,990,000 14,130,000 -17,340,000
板無し -2,167,000 -31,299,000 108,485,000 -98,782,000 -1,090,000 6,500,000 -86,370,000 4,380,000 17,886,000 9,100,000
  h11 h12 h13 h14 h15 h16 h17 MA 合計
板有り 153,495,000 -4,747,000 -1,080,000 88,000 27,120,000 -13,330,000 3,839,000 574,000 -41,369,000
板無し 241,573,000 2,760,000 67,047,000 -6,056,000 -215,726,000 18,016,000 6,527,000 585,000 41,369,000

板情報の開示は実現損益にほとんど影響しない。

注文価格の決定

板情報のないとき、注文価格の決定にケイ線情報は役に立ったか。 板情報のあるとき、注文価格の決定にケイ線情報は役に立ったか。

板情報があると、罫線情報の重要度は下がる

注文枚数の決定

板情報のないとき、注文枚数の決定にケイ線情報は役に立ったか。 板情報のあるとき、注文枚数の決定にケイ線情報は役に立ったか。

板情報があると、罫線情報の重要度は下がる

板情報

板情報を参照できるとき、注文価格の決定に板情報は役に立ったか。 板情報を参照できるとき、注文枚数の決定に板線情報は役に立ったか。

板情報は、注文枚数より注文価格の決定に影響する

習得度

U-Mart実験に参加して、先物市場への理解は深まったか。